カマイルカの全身骨格標本製作 第1弾 (除肉作業編)

本ブログには生々しい画像が含まれていますので耐性のない方は閲覧の際には十分注意してください。

8/11(土)、札幌支部の新たな試みとして、鯨類の骨格標本製作活動を開始しました。

この試みは4年生のサークルメンバーの一言から始まりました。

「イルカの標本作ってみたいんだよね。」

初めは、乗り気でないメンバーもいました。メンバーのほとんどが大型哺乳類の骨格標本を作ったことなどなかったため、無理があると考えていたのでしょうか。それも当然と言えば当然です。鯨好きや海洋生物好きが集まった団体とはいえ、所詮はほとんどが一般人の集まりです。多くの問題点がありました。

イルカの入手手段、イルカの解体場所・方法、頭骨などの大きな骨を煮込むための寸胴鍋、作製した標本の保管方法、その他標本製作にあたっての専門家の助力、etc.

これだけの障碍があれば普通は諦めるのでしょうが・・・やっちゃいました!

まぁ、大学生なんてそんなもんですよ。やりたいと思ったらやるんです(笑)。


そうはいっても、生き物を解剖して標本にするわけですから、やると決めたら真剣に取り組まなければいけません。

まずは、イルカの入手手段ですが・・・北海道大学鯨類研究会の顧問を務めていらっしゃる教授が、北海道内にストランディングする鯨類の調査・研究を行なっていらっしゃるので、その個体を頂戴することで解決しました。鯨種は、できる限り小さい種が良いと考え、成体で1.6-7m程度のネズミイルカが候補として挙がりました。寸胴鍋は北大博物館の道具をお借りすることになりました。また、サークルメンバーの中に、外国の国立博物館でニタリクジラ(大きい個体で体長15m超え)の骨格標本作製経験のある方がいらっしゃったため、専門家の助力もなんとかなりました。


と、まぁこんな感じで本格的に始動したわけですが、標本にすることに決定した個体は、体長228.3mのカマイルカ(♂)です。当初候補に挙がっていたネズミイルカよりも大型の種ですが・・・まぁ、色々とあったんですよね~。♪~( ̄ε ̄;)(めんどくさくなってきた・・・)

はい、早速なかなかの画像ですね・・・ここで再度注意ですが、ここから先、モザイク無しでこのような画像が多数載せられています。

匂いが漏れないように3重に袋閉じされていました。袋を開けた途端と腐肉と血の臭いが混ざって襲ってくる・・・と思っていましたが、思っていたより臭くはなかったですね。海の臭いのような独特な臭いがしました。個人的には、海鮮丼のような臭いがした気がします。

ジャーキーみたいですね。

これは椎骨ですね。これで脊椎全体の5分の1程度の大きさだったと思います。

先ほど、モザイク付きで紹介した頭骨ですね。メロンは研究用に採集されていますが、眼球も脳みそもそのまま残っています。

上の2枚の画像は椎骨です。あと3パーツ切り分けられたのがありました。

右胸鰭と肩甲骨ですね。当然左側もあります。鰭には皮膚がついたままですね。

こんな感じで、内臓や筋肉なども先に研究用に採集されているので、「解体された除肉されていない骨」といった形から作業開始です。

何を用いて除肉したかというと、ほとんど100均のカッターナイフでやりました!!市販のカッターナイフで十分除肉可能なんですね。

早速除肉を開始したところで、思わぬ邪魔者が現れました。キイロスズメバチです。スズメバチは肉食性のため、腐肉臭を嗅ぎつけ寄ってきたんです。メンバーの中には、一度スズメバチに刺されている人もいましたし、私個人的に、飛ぶ虫は予測のできない動きをするから苦手だったので、現場は少々混乱気味に・・・でも、いちいち気にしていたら全く作業が進まないので、最後の方は皆、「はいはい、こっちの肉を食べててね」って感じになってましたね(笑)。他にもハエやシデムシ、ワラジムシなどの腐肉食性の虫が大量に寄ってきました。ハチに比べると皆大人しくて可愛いもんでしたね。

椎骨の一部ですね。結構作業の進み具合が目に見えてわかりますね!

これは、また別の椎骨ですね。2枚目の写真をみると、椎骨がしなっている様子がわかります。椎骨の椎体間を椎間板が結合することでしなやかに動く背骨が形成されているわけです。私は理学部ではありませんが、骨学も面白そうですよね(全然詳しくないけど)。

これもまた別の椎骨ですが、一際除肉が綺麗ですね。先ほど紹介した、ニタリクジラの骨格標本製作の経験がある方です。やはり、プロは違いますね。作業速度も恐ろしく早かったですよ。カッターで肉を切っているというよりは、削りとってる感じでしたね(笑)。こちらも椎骨です。見ての通り、尾部の椎骨ですね。肉が少なく脂皮部が多かったためか、除肉(?)難易度は高かったようです。あと、当然ですが、尾鰭には骨がないため、イルカの尾部らしくはないですね。

こちらは、右胸鰭と肩甲骨。これもなかなかの厄介部位だったようです。鰭にがっつり脂皮が付いているため、これを剥ぎ取らないといけなかったわけですが・・・先ほどから脂皮と言っている様に、鯨類の皮膚には脂肪分が多く含まれているんですよね。カッターナイフの刃が油でギトギトになってすぐに切れなくなるわけです。3枚目の写真の白い部分が脂肪部分です。

胸鰭と分離した肩甲骨ですね。


はい、頭骨です。最後の写真からわかる通り、暗くなるまで解体に時間がかかりました。最後の写真は下顎です。

ってな感じで、途中参加や途中離脱するメンバーなどもいて、結構大人数で、朝から夕方までまったりと除肉してましたー。

疲れてきたんでこんくらいでいいですか(笑)


とりあえず除肉作業は今回でだいたい終了ということですが、ここから、煮込み作業や組み立て作業などまだまだやることがたくさんあります。ブログはテキトーになりましたが、イルカとはいえ遺体を扱うわけですから、素人なりに真剣に取り組み、良い標本を完成させたいですね。

完成は、10月頃になると思います。

それでは、進展があり次第ご報告します。

posted by H.T.

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